研究課題/領域番号 |
23740218
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
阿部 哲郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (70370070)
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キーワード | フローティング・ランダム ウォーク / モンテカルロ / 局所場 / 電磁場 / 加速器 / 高電界 / 数値計算 |
研究概要 |
高電界高周波加速構造の内表面には必ず微細欠陥(機械加工によるバリ、接合面の不完全さから生じるギャップ、結晶構造由来の表面起伏等)が存在し、そこでの局所的電磁場の増大(増大係数)が加速性能を劣化させる主要な要因と成り得る。しかし、空間離散化に基づく従来の方法(有限差分法や有限要素法)では、そのような増大係数を計算することが困難であり、計算出来たとしても、計算精度を評価出来ない。フローティング・ランダムウォーク型モンテカルロ法では、空間離散化が必要なく、また、確率・統計的な手法であるため計算精度の評価が可能である。さらに、モンテカルロ法であることにより高い並列化効率が期待出来、アルゴリズム自体も単純なため、GPUアクセラレータに適している。 前年度は静的な場を対象とし、GPU上で計算を行うための基本的なコードをCUDA Fortranで作成した。そのコードに関して、GPUボード2枚搭載の計算機サーバー1台構成にて性能試験を行った。 当該年度には、計算機サーバー1台を追加し、イーサネット接続での高速化性能試験を行った。その結果、期待通りの性能向上が得られることが判明した。これにより、より複雑な形状への応用が可能となり、実際の加速空洞設計への応用に成功した。さらに、時間的に変動する高周波電磁場への拡張に繋がるヒントを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2台の計算機サーバーを(一般家庭にも普及している)ギガビット・イーサネットにて接続して、期待通りの性能向上結果が得られた。また、実際の加速空洞設計への応用も行った。但し、Importance Samplingの導入までは行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Importance Samplingの導入や時間的変動のある高周波電磁場への応用等、シミュレーション・コードの完成度を高めるとともに、本コードを実際の加速空洞開発へ応用する。具体的には、既存の加速空洞を対象とした局所場計算と実験データとの比較、新しい加速空洞の設計への応用である。また、関連する実験データと本シミュレーション結果との相関を研究する。
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次年度の研究費の使用計画 |
専用のコンピュータ及び周辺機器・関連ソフトウエアを購入し、シミュレーション結果、及び、実験データの整理・解析を行う。 当該年度に2台目計算機サーバを予定していたよりも安価で購入できたため、当該年度に未使用額が発生した。当該未使用額は、次年度購入機器の高スペック化に使用する。
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