高電界高周波加速構造の内表面には必ず微細欠陥(機械加工によるバリ、接合面の不完全さから生じるギャップ、結晶構造由来の表面起伏等)が存在し、そこでの局所的電磁場の増大(増大係数)が加速性能を劣化させる主要な要因と成り得る。しかし、空間離散化に 基づく従来の方法(有限差分法や有限要素法)では、そのような増大係数を計算することが困難であり、計算出来たとしても、計算精度を評価出来ない。フローティング・ランダムウォーク型モンテカルロ法では、空間離散化が必要なく、また、確率・統計的な手法で あるため計算精度の評価が可能である。さらに、モンテカルロ法であることにより高い並列化効率が期待でき、アルゴリズム自体も単純なため、GPUアクセラレータに適している。 まず、静的な場を対象として、GPU上で計算を行うためのアルゴリズムを構築し、CUDA Fortran言語にて計算コードを作成後、GPUボード2枚搭載の計算機サーバー1台構成にて基本的な性能の確認を行った。次に、2台構成にて並列度性能の実証を行った。また、より複雑な形状への適用や、実際の加速構造放電データ解析への応用も行った。 最終年度には、時間的に変動する高周波電磁場への拡張を行うための理論形式を確立し、コードへの実装、及び、性能試験を行った。
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