研究課題/領域番号 |
23740221
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
阪井 寛志 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (50345229)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 超伝導空洞 / ERL / 超精密測定 / 非接触測定 / レーザー / 超低温 / 超伝導 / ビーム不安定性 |
研究概要 |
次世代型加速器において超伝導空洞がビーム性能を決める重要な開発要素であるが、ビームライン中の空洞はHe液体温度に保つため、断熱槽に覆われ、空洞の設置精度が外部から正確に測定できないのが現状である。本研究は、極低温下での超伝導空洞の変位をレーザーによる白色干渉法を用い、直接、空洞変位を非接触に10μm程度の精度で常時モニターし、空洞変位に対し、高品質大電流ビームへの影響を調べるものである。研究1年目の主な研究成果は以下の通りである。テストベンチにて白色干渉を用いた非接触計測による位置測定精度評価試験を行った。光カプラーにて分岐した測定対象物と参照ターゲットからの白色レーザーの反射光の干渉強度を参照ターゲットの距離の関数として、随時モニターすることで、性能評価を行う。まず既存の半導体レーザー光であるSLD白色光源(20mW)を用い評価を行った結果、測定精度には現状、スペクトラムの形よりも強度が重要であるとの結論を得たため、研究代表者は光コム光源より安価の白色光源で強度が既存の5倍以上を確保できるASE光源を購入した。1000mm離れた表面粗さRa4.4μmの測定対象物に対し、±2μmの測定精度を確認、12時間の測定で±5μmで安定であった。特にレーザー光はφ30mmのパイプとガラスのviewportを通じて行った断熱槽外部からの測定を模擬しており、測定精度、長期安定性に対し、位置モニターとして、十分な性能が確保できた。クライオモジュールの設計を進め、熱シールドなどとの干渉なしで、本レーザー位置モニターで測定するターゲットの場所と設計を進めた。2空洞を収める超伝導空洞の設計を行い、合計4つのターゲットを空洞の前後に置くことで空洞の冷却中の変化を追えるような設計を進めた。特にターゲットの中心を目盛を刻んだガラスを用意し、冷却中の変位をレーザーと望遠鏡の両方で測定可能な設計とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に書いた項目のうち、A)精密位置測定装置のテストベンチでの性能評価、及び、B)ERL用超伝導空洞のクライオモジュールの設計、実機精密位置測定装置の設計までは進んでおり、次年度の精密測定装置を用いたクライオモジュールを用いた実証試験に向けて順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られた結果、特にテストベンチでの評価を基にして、クライオモジュールの製作、設置の後、具体的な配置が決まった実機の位置測定モニターのモジュールを用いた位置測定を行う。特にターゲットを2つの超伝導空洞前後である4か所を設け、レーザーは各ターゲットの垂直水平の2か所を合計8点を測定し、モジュールの2K He温度冷却中の変位を追っていく。この変位が正しいかどうかはモジュールに設けられたターゲットを望遠鏡で覗き位置を読み取りながら、レーザー位置変位でターゲットの動きと同時の測定を行う。その相関データから、空洞の変位の確認を行うとともに、特に極低温中での変位を10μm精度で追随可能であるかどうかの評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
光学部品の一部の購入を次年度以降に回した分、今年度の未使用分が一部生じた。その未使用分も含めて、次年度は、まず4軸化に向けたターゲット治具や実機位置モニターの光学部品、回路などの設計を行い、購入する。治具製作、光学部品、回路などに費用が生じるようなら次次年度の予算枠からも配分し、補う予定。
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