研究課題
本年度は、昨年度2K冷却中の空洞位置測定に成功した本位置測定装置を用いて、KEKにあるERL試験加速器にて初のエネルギー回収下でのビーム運転を行った。ビーム運転に向けた改良点は、「ファイバー系の改良」、「2軸化から4軸化」の2点である。昨年度は参照面と測定対象を独立のファイバーで光を分配し、干渉縞を測定していたが、ファイバーの温度変動の影響を抑えるため、ファイバー長を3mと短く抑え、空洞共々、温度が±0.5℃で安定な加速器室内環境下に測定系を置き、冷却中の変位測定を行うことで、±10μmの精度を実現していた。但し、空洞パワー試験時には放射線の影響が大きく、測定不可能であった。1つ目の改良として、光路差の温度変動の影響を無くすため、測定対象用ファイバー光路内に参照面を同時に設けた。結果、100mのファイバー長にて、25±5℃の温度環境下、40時間以上で±3μm以下の超高安定位置測定を実現した。また、2つ目の改良として、空洞1か所の水平、垂直方向(2軸)の測定から空洞前後の2か所の垂直、水平方向(4軸)に測定点を増やし、ビームに対し、2K冷却中のモジュールの位置と角度両情報の測定を可能とした。上記改良後、PCなど測定機器は加速器室外で制御可能となり、2K冷却後のビーム運転が始まってから2か月の長期に渡り、ビーム運転中の空洞変位を詳細にモニターすることが可能であった。特に、2K冷却後は昨年度の変位を再現。運転中も放射線の影響なく、長期的に±10μmで空洞の安定性を確認すると同時に、ビームに対しても、空洞設置要求値である1mm以内での設置を確認した。位置情報は、他ビームモニターと合わせ、データベース化され、空洞位置の詳細測定のもと、ビーム調整がスムーズに行われ、空洞位置によるビーム不安定性も見られず、最終的に、国内初の6μA以上のCWビームで20MeVのエネルギー回収を実現した。
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Proceedings of 16th International Conference on RF Superconductivity 2013 (SRF2013)
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