研究課題/領域番号 |
23740236
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
横山 毅人 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (30578216)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | トポロジカル絶縁体 |
研究概要 |
トポロジカル絶縁体の特徴はトポロジカルに保護された表面状態の存在であり、低エネルギーで電子はDirac方程式に従うことが知られている。このDirac方程式に従う電子は従来の電子系と異なり、運動量とスピンの向きが1対1に対応しており、スピントロニクスへの応用が期待されている。3次元のトポロジカル絶縁体に強磁性を接合した系における、磁化のダイナミクスにより誘起された電流を調べた。トポロジカル絶縁体の表面において、強磁性体の磁化の回転軸が表面内にある場合、磁化の運動は直流電流を生成することがわかった。この整流効果はアノマリーの結果であり、トポロジカルに保護されている。この整流効果が不純物に対しても安定に存在することもわかった。また、同様の系において電流誘起の磁化のダイナミクスを調べた。電流下でのLandau-Lifshitz-Gilbert方程式を数値的に解き、磁化のダイナミクス及び磁化反転を議論した。電流注入により生成する磁化に働くトルクは強磁性領域を通る透過率に依存し、交換場について非自明な依存性を示すことを明らかにした。この磁化のダイナミクスは逆spin-galvanic効果の帰結であり、従来のように2つの強磁性体を用いる必要がないことを示した。また、強磁性体/トリプレット超伝導体接合において磁化のダイナミクスによりパンプされた電流を調べた。局在スピンがクーパー対のトリプレットベクトルが作るベクトルカイラリティと結合して、電流が生成されることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トポロジカル絶縁体に強磁性を接合した系における、磁化のダイナミクスによる整流効果や、その逆過程である電流誘起の磁化のダイナミクスなどトポロジカル絶縁体に固有のスピントロニクス現象を発見することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
トポロジカル絶縁体の逆ファラデイ効果の研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は効率的に研究費の使用が出来た。トポロジカル絶縁体の研究は特にアメリカで進展著しいため、アメリカの学会において研究成果を発表、およびアメリカの研究者を訪れ研究打ち合わせをする。
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