研究概要 |
物性物理に現れる様々な非平衡相転移現象について新現象の発見と計算手法の開発を軸として研究を行っている。申請者の提案した光誘起トポロジカル相転移が世界的にも広く認識され、例えば光学系を用いた実現がNature誌に掲載された(Rechtsman et al. Nature, 496, 196 (2013))。さらに、固体物理系(トポロジカル絶縁体の表面にある二次元ディラック電子)に円偏光レーザーを照射してトポロジカルギャップが開く現象がN. GedikらMITグループによって報告された(Wang et al. Science 342, 453(2013))。その点で、本年度は申請者の研究が世界的にも認められた年といえる。 本年度は代表者が主体の研究としては(i)モット絶縁体の光励起現象と関連した高エネルギー物理過程 (Hashimoto Oka JHEP2013), (ii)高温超伝導体の光誘起現象(投稿準備中)を行い、同時に、共同研究として(1)量子磁性体の光誘起トポロジカル相転移(Takayoshi et al. arXiv:2013)、(2)多層型高温超伝導体の転移温度(Nishiguchi et al. PRB2013)についてまとめた。 光誘起電気伝導の研究:強力なレーザーを照射した電子系の電気伝導について調べた。系の電気伝導を正確に決めるためには電極との結合による緩和機構を考えた上で、大規模な系で計算を行う必要がある。この目的を達成するため「Floquet+Landauerの方法」という手法を開発し、グラフェンの光誘起伝導に応用した。研究成果はMikami et al. として論文にまとめているとこである。
|