本研究課題ではまず,1次元3Heの量子的性質の出現の有無を調べるために,孔径2.8nmの細孔中に導入した3HeのNMR測定を行った.3Heの導入量を増やすにつれて,まず細孔内壁に第1層固相が形成され,その内側に非晶質固相,さらにその内側に液相が現れることが分かった.この液相において,約300mKより低温で磁化がキュリー則よりも小さくなる現象が観測された.この原因として液体3Heが縮退を始め,量子的な状態が出現していることが考えられ,過去に観測された比熱の縮退による温度変化とも整合する.得られた結果は,今後1次元系特有の磁気的性質を探求していくうえで,重要な足がかりとなることが期待される.
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