研究概要 |
常磁性状態における非容易軸方向成分(ab面内成分)が高温で独立に秩序化している特異な成分分離、および部分成分秩序状態を示すNdB4, NdCu2Si2およびNdCu2Ge2について、平成25年度は以下のような成果を得た。 NdB4は更なる大型単結晶をFZ法により作製することに成功した。 この単結晶を用いてSPring-8にて共鳴X線散乱実験を行った。その結果、NdB4に現れる中間温度II相において、4f電子の電気四極子{Oyz, Ozx}が秩序化していることが明らかとなった。この結果は昨年度以前に得られていた弾性定数測定の結果と矛盾しない結果であることがわかった。また、J-PARCのBL18 SENJUにおいて、単結晶中性子回折を行った。この結果、III相-IV相において、インコメンシュレイトの磁気秩序からコメンシュレイト磁気秩序への一次相転移を観測し、長周期構造を示唆するブラッグ散乱の観測に成功した。さらに、中性子回折実験、帯磁率、平均場近似による理論計算の結果と矛盾しないことが示せた。 NdCu2Ge2およびNdCu2Si2については、単結晶の育成に成功し、弾性定数測定を行うことに成功した。また、平均場計算により、当方的磁気八極子相互作用のみを考慮した八極子転移によってNdCu2Ge2およびNdCu2Si2の特異な帯磁率を再現することに成功した。また、このときの第一秩序変数がTαzであることも明らかにした。
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