研究課題
より正確な相図を決定するためには温度・圧力を精度よく測定する必要がある。特に固体酸素は熱膨張が大きいために室温で保持した圧力が温度変化とともに変化する事が分かっており、相転移点での正確な圧力測定が必要である。そこで、光ファイバーを冷凍機に導入する事で物理量とともにルビー蛍光測定により圧力の温度変化を測定できる簡易な光学系を構築した。カンタム・デザイン社物理特性測定装置PPMSに取付けられる直径約20 mmのダイヤモンドアンビルセル(DAC)の作成を行い、上記圧力測定装置と組み合わせて、固体酸素の交流比熱測定に取り組んだ。目標としていたδ相までは圧力発生ができておらず、圧力室の改良を行い、酸素により高い圧力をかけられるようにする事が課題として残った。また、高圧力とパルス磁場を組み合わせた複合極限環境下での測定に向けて開発を行った。パルス磁場は数十ミリ秒の短い時間に磁場を発生させるために渦電流による発熱が問題となる。そのためにパルス磁場下では従来の金属製DACの使用は困難となる。そこで、高強度プラスチックを用いたDACの作成と評価を行った。金属製DACよりは圧力発生性能が劣るもののプラスチック製DACでも約8 GPaの圧力発生に成功した。デザインの改良により高い圧力発生を目指す。本研究期間内に、約5 GPa、室温から2 Kまで固体酸素の圧力-温度相図を交流比熱、磁気測定により熱力学的に明らかにした。その結果γ相内に比熱のとびが観測され、今まで報告のない新しい相の存在が示唆される。さらに、LC共振回路を用いた共振周波数測定手法を開発し、DAC中にコイルを入れる事で簡便に圧力下で磁気測定を行えるようにした。この手法による量子振動測定も可能で、高圧力・強磁場下での物性研究への応用が期待できる。
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