研究課題
本研究で発見した2つの鉄系超伝導体、Ca10(Pt4As8)(Fe2-xPtxAs2)5 (アルファ相)とCa10(Pt3As8)(Fe2-xPtxAs2)5 (ベータ相)において、(1)超伝導転移温度Tcの組成依存性が2ドーム構造を示すことを見出した。さらに、これら2つの化合物が(2)122型鉄系超伝導体と同程度の上部臨界磁場を示すことを明らかにした。(1) Tcの2ドーム構造スペーサー層PtnAs8のPt量がn = 3のベータ相は、0.1 < x ≦ 0.47の範囲で超伝導を示した。最大のTcは17 Kである。この超伝導相は反強磁性秩序相に隣接する。一方、n = 4のアルファ相は、0.22 ≦ x ≦ 0.48の範囲で超伝導を示した。最大のTcは38 Kである。アルファ相では、スペーサー層のPtがベータ相よりも1つ多いため、FeAs層に電子がセルフドープされる。スペーサー層のPtが放出する電子を10個のFeが受け取る。したがって、アルファ相の相図はΔx = 0.2だけシフトされる。その結果、アルファ相とベータ相の相図を組み合わせるとTcの組成依存性が2ドーム構造を示す。Ca10(PtnAs8)(Fe2-xPtxAs2)5では、反強磁性秩序相に近い超伝導ドームのTcよりも遠い超伝導ドームのTc方が高い。(2) 上部臨界磁場磁場中電気抵抗率測定の結果を解析し、絶対零度における上部臨界磁場を推定した。その結果、アルファ相(Tc = 33 K)とベータ相(Tc = 14 K)に対して、それぞれ、35 T、22 Tが得られた。これらは、122型鉄系超伝導体と同じ程度の値である。
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