研究概要 |
鉄系超伝導体は、超伝導を発現する2次元 Fe2As2層とスペーサー層が交互に積層した層状構造を持つ。したがって、Fe2As2層の電子状態を最適化する新しいスペーサー層の開発が、より高い転移温度Tcを持つ鉄系超伝導体の実現につながる。これまで報告されたスペーサー層は、全て、イオン結合性の化学結合により構成されていた。本研究では、共有結合性のスペーサー層 PtnAs8を持つ新しい鉄系超伝導体 Ca10(PtnAs8)(Fe2-xPtxAs2)5(n = 3,4)を発見した。n = 3 であるベータ相はTc= 17 K を示す。ベータ相では、スペーサー層において Pt と原子空孔が秩序配列している。Pt と原子空孔の量を調節すると、n = 4 であるアルファ相が生成する。その化合物はTc= 38 K を示す。これらの化合物の発見は、多様なスペーサー層が鉄系超伝導体に入ることを示し、鉄系における物質開発の幅を広げた。
|