研究課題
大きな電子比熱係数をもつYbPtSbの低温状態について研究を行った。昨年度、低温で電子状態が変化することを見出し、その状態を明らかにするために、本年度は核スピン-格子緩和率1/T1の磁場依存性を1-10Tの領域で測定した。1/T1磁場の影響が顕著に現れることから、低温の状態はYbイオンの4f電子スピンが関与している可能性が高いことがわかった。ただ、電子状態が変化すると考えられる温度付近でNMR信号強度が非常に弱くなり精度のよい実験を行うことが困難となるため、その温度の磁場依存性は明らかにできていない。また、YbPtSb固有の性質であるPt核やSb核はYbイオンの4f電子の影響を強く受けるため、低温で信号強度が弱くなることが低温電子状態の詳細な測定の妨げになっていると考えられる。YbPtSbでは低温でもナイトシフトは降温とともに増大するにも関わらず、1/T1は低温で減少した。これは異常な振舞いである。しかし、私たちのグループが現在研究しているEuPtPでもナイトシフトと1/T1によく似た振舞いを観測した。このことは、低温でも強く局在した4f電子をもつ系に共通した現象である可能性を示している。本年度は4f電子の遍歴性の強い系として価数揺動物質であるYb2Ni12P7の研究も行った。単結晶と粉末試料の両方を用いた測定により、小さな単結晶では分からなかった、磁化、揺らぎの異方性を明らかにした。今後、これらの研究を4f電子を複数もつ系に拡張して、新奇な4f電子状態について調べていく。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (14件)
Journal of Physical Society of Japan
巻: 81 Suppl. B ページ: SB008 1-5
10.1143/JPSJS.81SB.SB008
Journal of Physics:Conference Series
巻: 391 ページ: 012097 1-4
10.1088/1742-6596/391/1/012097
巻: 81 ページ: 033706 1-4
10.1143/JPSJ.81.033706
巻: 81 Suppl. B ページ: SB061 1-4
10.1143/JPSJS.81SB.SB061
巻: 391 ページ: 012044 1-4
10.1088/1742-6596/391/1/012044
巻: 344 ページ: 012026 1-4
10.1088/1742-6596/344/1/012026