研究課題
表面スピン波によって運ばれる熱流について解析を行った。その結果、指向性を持つスピン波を利用することで、強磁性体中の熱拡散をコントロールできることが明らかになった。具体的には磁化の運動を表すLandau-Lifshitz-Gilbert (LLG)方程式を、双極子相互作用を正確に取り入れて数値計算を行い、マクロな系での表面スピン波を再現することに成功した。この結果は、Nature Materials誌に掲載が決定しており、次年度に出版される。
1: 当初の計画以上に進展している
研究計画当初は、熱勾配によるスピン波駆動について研究を行なってきたが、今年度は、その逆効果ともいえる、スピン波による熱流制御を発見した。このことは申請時には考えられなかったことであり、予想以上の成果である。
今年度発見した表面スピン波による熱流制御と、スピンゼーベック効果を利用することで、強磁性体を用いたデバイス内での熱制御が可能になった。今後は具体的な素子の設計、磁性体を用いた新しい冷却法の研究を推進する。
得られた研究成果を国際学会、国内学会で発表する。またデータ量が膨大になるので、20万円程度の大型ハードディスクを増設予定である。今年度計算機を購入した際、予算計上時より購入機種の価格が下がっていたため10万円弱の繰越金が発生した。繰越金は上述のハードディスクの増設に使用予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Nature Materials
巻: 12 ページ: 549
Nature Communications
巻: 3 ページ: 845
Phys. Rev. Lett.
巻: 109 ページ: 127204
10.1103/PhysRevLett.109.127204