揺らぎの定理は非平衡状態においても普遍的に成り立つ,熱力学第2法則を微小系に拡張する定理であり,近年,量子輸送にも適用されている.本研究では量子導体において,測定回路の揺らぎの定理への影響を理論的に研究した.1)電子波干渉計とLC回路(測定回路)結合系で揺らぎの定理を検討し,測定回路の反作用はむしろ揺らぎの定理を満たすために必要であることを示した.2)2重量子ドットと量子ポイントコンタクト(測定回路)結合系において,4端子系の非線形輸送係数間の普遍的な関係式を揺らぎの定理から導き検証した.3)ナノ磁性体を対象に,非保存力であるスピントルクと熱揺らぎが,ナノ磁性体の反転に与える影響を研究した.
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