本研究は、水面を自発的に滑走する樟脳船の集団に現れる秩序構造の発見と解析を目的として行った。樟脳船を円形の擬一次元水路に多数浮かべると時空間的な周期構造を示す。この機構を数理的に詳しく解析するために、樟脳船からの分子供給速度や昇華速度などの基礎データを測定した。この成果と数理モデルを元に、水面における樟脳船が相互作用可能な距離を見積もることに成功した。新たな秩序構造発見のために、2次元水面に樟脳粒を多数浮かべ、その集団運動を観察した。その結果、数密度がある一定以上に増えると停止と運動を非周期的に繰り返す間欠運動が現れることを発見した。一定数以上になると樟脳粒は動かなくなることは既に知られていたが、間欠運動の発現は新たな集団運動の発見である。
|