本年度は、課題研究のまとめとして「Pattern Formation and Oscillatory Phenomena」の本の一章「Dyanamics of Droplets」として執筆した。また、研究成果の発表の機会にも数多く恵まれ、イギリス、ケンブリッジのアイザックニュートン数理科学研究所で行われた滞在型研究会に参加し、招待講演を行うとともに様々な研究者に対し我々の研究成果や関連研究についての議論をすることができた。他にも、カブリ理論物理学研究所での滞在型研究会にも参加し、また、アメリカ物理学会やその他国内の学会やセミナーに招かれたものも含めて11件講演することができた。滞在型研究会で行った講演は、すべて録画され世界中から視聴可能になっている。これらの機会により、我々が発展させた、ストレスファイバーの流体力学的記述や、化学反応を用いた自発運動や変形についての研究成果を世界中に広めることができたと考えている。 また、化学反応により、等方的な環境から対称性を破って、変形し運動する液滴のモデルについて縮約された方程式を導出し、自発運動によって作り出される周りの流れ場についてその力学的な特徴を明らかにした。これはPhysical Review E誌に掲載されている。さらに、数値計算によって自発運動と変形を再現することにも成功し、日本物理学会などですでに発表を行っている。三年間の研究の総まとめとして、十分な成果発表であったとともに、生物系の研究者との新たなネットワーク作りにも成功し、今後につながる研究の芽もいくつか出始めた充実した年度であった。
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