本研究では、中性子小角散乱及び中性子スピンエコー法を基軸とし、溶液中のタンパク質一分子の構造とダイナミクスの統計情報を定量的に評価した。モデルとして水溶性で残基数149 の小球状タンパク質である黄色ブドウ球菌由来の核酸分解酵素 Staphylococcal nuclease(SNase)を生合成で大量に生成し、中性子小角散乱測定を大強度陽子加速器施設J-PARC のBL15「大観」で、中性子スピンエコー測定をフランスのラウエ・ランジュバン研究所(ILL )のIN15 分光器を用いてそれぞれ行った。得られた散乱データを詳細に解析することで、SNase の溶液中の構造とダイナミクスを評価した。
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