研究課題/領域番号 |
23740325
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
研究代表者 |
奥村 久士 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 計算科学研究センター, 准教授 (80360337)
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キーワード | 分子動力学 / タンパク質 |
研究概要 |
生体分子など複雑な自由エネルギー地形を持つ物質の分子動力学シミュレーションを素朴におこなうと、自由エネルギー極小状態にトラップされてしまい広い範囲の構造を探索できない。そこで近年、マルチカノニカル法やレプリカ交換法などの拡張アンサンブル法が よく用いられるようになってきた。あるいはハミルトニアンレプリカ交換法では温度の代わりにポテンシャルエネルギーのパラメーターを交換する。そこで何を交換するパラメーターに設定するかが問題になる。2面角ポテンシャルエネルギーに新しい項を付け加えることによりαへリックスまたはβストランド構造を多く再現できる。そこで、このポテンシャルエネルギーに係数をかけ、その係数を交換する新しいハミルトニアンレプリカ交換法「αへリックス・βストランドレプリカ交換法」を昨年度までに開発してきた。 今年度はこの方法をより強力したハミルトニアンレプリカ置換法を開発した。ハミルトニアンレプリカ交換法では2つのレプリカの間でパラメータを交換するのに対し、ハミルトニアンレプリカ置換法では3つ以上のレプリカの間でパラメータを置換する。また置換の際に従来のメトロポリス法ではなく、諏訪・藤堂法を用いる。この方法をCペプチドに応用し、その自由エネルギー地形を計算した。その結果、まずGlu2とArg10の側鎖間で塩橋ができ、その後αヘリックス構造が形成されることが分かった。このようにしてCペプチドのフォールディング経路を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はハミルトニアンレプリカ置換法を開発することができたので、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ハミルトニアンレプリカ置換法を用いて、今後より大きなタンパク質の折り畳みに取り組んでいく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に使用している計算科学研究センターの計算機のハードディスク容量が予想外に増え、得られたデータを保存するハードディスクを早急に購入する必要がなかったため。ただし、計算科学研究センターのハードディスクに保存してあるデータも2014年度中には自分の手元に引き取らなければならない。 また2013年度の国際学会がたまたま日本国内や台湾など近隣で開催されることが多く、旅費が比較的安く済んだため。 計算科学研究センターのハードディスクに保存してあるデータを引き取るために、またさらに大きな系のシミュレーションを行うのでその結果を保存するために、ハードディスクを購入する。また学会で成果を発表するために国内外に出張する。
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