現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年の予算で購入した計算機のセットアップがほぼ完成し,様々な解析・研究に自由に使えるようになった.特に波形処理に関しては,古いワークステーション上で稼働していたいくつかのプログラムを書き換え,効率的に研究が行えるようになった.また,本予算の外国旅費による米国地質調査所へ滞在により,W. L. Ellsworth氏,S. Kirby氏らを訪問した.沈み込み帯浅部での地震活動や,速度の不均質性が大きい場合の震源決定等について,共同研究・研究打ち合わせを行うことができ,研究面での進展があった.また,岩手県釜石沖の中規模繰り返し地震について,2つの地震サイクルにわたる小地震の活動を調べた結果についてGeophysical Journal International誌に投稿し出版された(Uchida, N., T. Matsuzawa, W. L. Ellsworth, K. Imanishi, K. Shimamura, and A. Hasegawa, Source parameters of microearthquakes on an interplate asperity off Kamaishi, NE Japan over two earthquake cycles, Geophys. J. Int., 189, 999-1014, 2012.).この研究では,小地震の震源位置,断層サイズ,すべり量を正確に求めることで,アスペリティは階層構造をなし,地震活動は2つのサイクルで非常によく似ていることが分かった.また,地震時すべり域内外での地震活動の違い,アスペリティ内への準静的すべりの浸み込みとそれによる地震トリガリング現象,M4.9前後の地震の初期破壊点の位置を明らかにした.これらの結果は,小地震をアスペリティのカップリング状況のモニタリングに使用できる可能性を示す.
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