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2011 年度 実施状況報告書

北海道下における島弧衝突過程とそれに伴う太平洋スラブの変形機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23740329
研究機関東北大学

研究代表者

北 佐枝子  東北大学, 理学(系)研究科(研究院), COEフェロー (10543449)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード国際情報交流 / 北海道・日高地方 / 島弧―島弧衝突帯 / 地震波速度構造 / 内陸大地震
研究概要

今年度は,(1)北海道日高地方下での地震波速度構造を推定し,(2)この地域の過去の大地震のメカニズム解を決定し,(3)過去の大地震の断層面と得られた速度構造との比較研究を行った.それにより,日高地方下で深部より深さ10km程度まで貫入する,特異な高速度異常域(マントル物質に相当)を数か所で見つけた.これらの高速度異常域と地殻物質との境界は,地質境界もしくは衝上断層の深部延長上に存在することが分かった.また,うち2つは,同地域の大規模地震である1970年M6.7日高地震,1982年M7浦河沖地震の断層面に一致していた.これらの内陸地震は,異常に深部で発生しているが,その原因は長らく不明であった.しかし,本研究により,これらは,急激な速度変化面(マントル→地殻)を利用し発生した地震であることを明らかにした.このようにして得られた成果は,アメリカ地球物理学会で発表し,また内容をまとめて国際誌(JGR)にも投稿した. 本研究の研究協力者のうち4名の方々(新潟大学・高澤准教授,東京大学地震研究所・新井研究員,東洋大学・澤口准教授,JAMSTEC・阿部なつ江研究員)と共に北海道・日高地方に赴き,現地調査および研究集会「島弧衝突過程の解明にむけて」(開催日:10月1日,口頭発表者数3名)を開くことができた.なお,この研究集会については,別の研究集会「Ocean Mantle Dyamics: From Spreading center to Subduction zone」(http://ofgs.aori.u-tokyo.ac.jp/intridgej/WS_2011/ 開催日:10月4-6日)による現地巡検(開催日:10月2日)の前日準備中に開催したことにより,研究協力者以外の参加者も多数あった(参加者22名).それにより,研究成果を,国内外の本分野の研究者へ効果的に発信することができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究により,これまで原因不明だった当該地域における内陸大地震が異常に深部に発生する原因について突き止めることができた.また,得られた地震波速度構造と地質構造との詳細な検討を行い,岩石学者との学際的な議論をおこなった.それにより,これまでの定説と反する,この地域で見られる幌満橄欖岩の起源が最上部マントル起源であると考えるのが妥当,という新しい知見を抽出することもできた.よって,当初予想以上の成果が上がったと考える. 当初の予定では,研究協力者を集めた10名以下の小規模な研究集会を日高地方で開催する予定であった.しかし,実際は幸運にも他の研究集会により巡検開催の前日に設定できたため,本研究と本研究の研究協力者による成果を国内外の他の研究者計22名に発信することができた.

今後の研究の推進方策

前年度までに地震波速度構造の推定とメカニズム解の推定を終わることができた.今年度は,別の地下の情報である地震波減衰構造の推定を新たに行う.地震発生には,地殻流体の関与が指摘されており,その空間分布の把握を行うことは非常に重要である.また,地震波減衰構造は,地震波速度構造と比べ,地殻流体の検出に関し感度がより高いと考えられている.よって,地震波減衰構造を詳細に推定し,その結果の検討を前年度までに得られた地震波速度構造との結果と比較しつつ行いたい.

次年度の研究費の使用計画

今年度も,共同研究者との研究打ち合わせを複数行う予定であり,その為の旅費を必要とする.論文投稿にまつわる英文校閲・投稿料等の経費を使用する.また,研究成果を発表し発震する場である学会への参加に伴う旅費を必要とする. 次年度は,地震波減衰構造の推定を行うことを予定している.その研究活動を効率的に行うための計算機を複数台購入することを計画している.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Seismic evidence for reactivation by M9.0 event2011

    • 著者名/発表者名
      Nakajima, J., A. Hasegawa , S. Kita
    • 雑誌名

      GRL

      巻: なし

    • DOI

      doi:10.1029/2011GL048432

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Coseismic fault model based on the GPS data2011

    • 著者名/発表者名
      Ohta et al.
    • 雑誌名

      EPS

      巻: なし

    • DOI

      doi:10.5047/eps.2011.07.016

    • 査読あり
  • [学会発表] 日高地域下の詳細な地震波速度構造:島弧‐島弧衝突と1982年浦河沖地震2011

    • 著者名/発表者名
      北 佐枝子, 長谷川昭, 中島淳一, 岡田知己, 松澤暢, 勝俣啓
    • 学会等名
      2011年 地球惑星科学連合春季大会
    • 発表場所
      千葉県・幕張メッセ
    • 年月日
      2011年5月26日
  • [学会発表] Arc-arc collision and M7 class earthquakes2011

    • 著者名/発表者名
      Kita et al.
    • 学会等名
      2011 AGU fall meeting
    • 発表場所
      米国・サンフランシスコ・モスコンセンター
    • 年月日
      2011年12月8日

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公開日: 2013-07-10  

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