始原的な隕石に含まれるコンドリュールは,加熱溶融したmmサイズのケイ酸塩ダストが急冷凝固して形成したと考えられているが,その凝固組織形成の素過程は解明されていなかった。本研究では,ケイ酸塩メルト内における鉱物形成ダイナミクスの物理モデルに基づき,凝固組織の形成過程を理論的に明らかにした。棒状カンラン石組織は急冷凝固に伴う固液界面不安定化により形成し得る。天然組織に見られる棒状カンラン石の幅を再現するためには,従来の考えよりも2桁ほど速く冷却する必要があることを示した。また,斑状組織カンラン石の再成長層に見られる直線的組成累帯構造の成因は,このような急冷凝固によって説明可能であることを示した。
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