研究概要 |
桜島火山雷について3種類(可視映像、地磁気-地電流、MF帯)の観測研究を行った結果、以下のことが分かった。 (1) 桜島火山雷には継続時間が短い(数10 μ s) パルスが数ms の間に複数解繰り返すタイプの放電と、複雑な波形がバースト的に長く(数ms) 続くタイプの放電の2 種類があることが明らかになった。可視映像との比較からそれぞれ対地放電(CG) と雲内放電(IC) に相当する。またIC の継続時間は長いが、ピーク電流量はCG に比べて1/10 以下と少ない。このような桜島火山雷の特徴は気象雷と多くの点で共通であるが、その放電量や時間スケールは気象雷の1/10~1/100 程度であることが分かった。 (2) CGに関しては正極性のものと負極性のもの割合は6:4程度である。電流値はピークで数1000A, 電荷供給量としては数C程度であり、気象雷に比べ1/10~1/100 程度であることが分かった。 (3) ICは噴火直後から発生する場合がある。気象雷が噴火によって誘発される事例が可視映像により観測され、噴煙の縁から放電が開始することが示された。以上の2つの観測事実は、噴火開始直後から噴煙が電荷を帯びていること、特に噴煙の縁でそれが顕著であることを示唆している。これまで噴煙上昇中の粒子の衝突が帯電に重要と考えられてきたが、火道内部での(例えば火道壁と上昇マグマの摩擦)帯電も重要な役割を果たしていることを示唆している。
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