木星や土星に加え、火星を周回する不規則衛星の起源について調べた。まず、周太陽軌道にある小天体が周惑星軌道へ移行する第1段回として、円軌道惑星による一時捕獲軌道を考えた。一時捕獲とは、小天体が惑星近傍に一定時間以上滞在する軌道である。現象を解析的にとらえるため、次のような仮定をおいた:(1)小天体は惑星のラグランジュ点で捕獲される、(2)小天体と惑星の速度ベクトルが平行で、(3)小天体と惑星の相対速度が十分小さいときに捕獲される。以上の簡単な近似と仮定をおくことで、周太陽軌道と周惑星軌道の関係を明快に解析解で与えることに成功した。 そして、その解析解の結果を確認する数値計算を行った。具体的には、主に制限三体問題として太陽を周回する惑星と粒子の軌道計算をおこなった。粒子は、解析解が予測する、捕獲されうるパラメタ範囲を初期条件とした。結果、数値計算は解析解をよく再現することがわかった。これらの結果をまとめたものは平成27年10月にThe Astronomical Journalに受理された。 さらにこの結果を、楕円軌道惑星の場合へ拡張し、過去の惑星の軌道における捕獲可能性について調べた。
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