研究課題/領域番号 |
23740337
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 武男 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (40377982)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | モンテカルロ法 / 逆解析 / 断層すべりインバージョン |
研究概要 |
本研究はモンテカルロ法による最適なモデル解像度を得るべく新たな逆解析手法の開発とその応用を目的としている。地球科学における逆解析は本質的に劣決定問題であるため、常に解像度と解の分散とのトレードオフの問題があり、新たなアルゴリズムを導入することで解像度の議論が不要になると考えている。本年度実施した内容は、モンテカルロ手法に基づく測地学的な断層すべり逆解析手法のアルゴリズムの構築及び、解析プログラムの作成である。当初の研究計画では新たにGPU専用の計算機を導入する予定であったが、予算の見通しが難しかったため、既存の計算機にGPUの計算ボードを新たに増設することで、研究の遂行に支障が出ないようにした。そのため、プログラムの開発は新たに導入したGPU計算ボードにて行った。GPUによる計算の加速を検証するために、CPUを用いる計算プログラムとGPUを用いる計算プログラムの2種類のプログラムを作成した。作成したプログラムは全国のGPS観測データから2011年東北沖地震の地震時のすべり分布を推定するプログラムである。これらの解析結果は2011年度日本測地学会秋季講演会にて口頭発表を行った。GPUを用いた計算の高速化により2つのCPU(6cores)に対して最大2.3倍速く計算でき、GPUによる計算の加速が確認できた。なお、解析結果については論文の投稿準備中である。また、CPUによる解析プログラムではあるが、モンテカルロ法に基づく逆解析手法をスマトラ断層に適用し、解析成果を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画は主にGPUを用いたアルゴリズムの構築とプログラムの作成であった。当初、予算の確定に通常よりも時間を要したため、当初はGPU専用の計算機を導入する予定であったが、GPUボードを既存の計算機システムに導入することで、研究の遂行に支障が出ないようにした。GPUボードを導入した計算機にて、モンテカルロ法に基づく断層のすべり逆解析のプログラムを作成し、作成した解析プログラムをもちいて、2011年東北沖地震の地震時のすべりに適用し、地震時のすべり分布を求めた。これらの成果は2011年測地学会秋季大会にて口頭発表を行った。当初の予定では、もう少し高速化できる予定であったが、初年度としては、GPUで計算プログラムを完成させ、さらにCPUよりも高速計算できたため、初年度の目標は達成したと言える。また、CPUを用いた解析ではあるが、スマトラ断層に適用し、現在投稿中で査読の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
2011年東北沖地震の地震時のすべり分布をモンテカルロ法を用いて推定した結果を査読付き論文に投稿をおこなう。モンテカルロ法による逆解析手法をスマトラ断層に適用し、その結果を国際誌に投稿している。その査読の修正を行う予定である。研究の推進の方策として、現在はまだ、1つのGPUしか使用できない解析プログラムであるが、複数のGPUを用いた解析ができるように解析プログラムを改良し、さらなる高速化を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在の計算機ではメモリが少ないため、メモリの増強やHDDの増強を計画している。これらの計画により、より効率的な計算が可能となる予定である。また、カリフォルニア工科大学のMark Simons氏との共同研究のため10日程度の滞在を予定している。
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