研究課題/領域番号 |
23740337
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 武男 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (40377982)
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キーワード | モンテカルロ法 / 逆解析 / 断層すべりインバージョン |
研究概要 |
本研究はモンテカルロ法による最適なモデル解像度を得るべく新たな逆解析手法の開発とその応用を目的としている。地球科学における逆解析は本質的に劣決定問題であるため、常に解像度と解の分散とのトレードオフの問題があり、新たなアルゴリズムを導入することで解像度の議論が不要になると考えている。本年度実施した内容として、前年度開発したプログラムの検証とモンテカルロ手法に基づく測地学的な断層すべり逆解析手法の応用を行った。前年度、作成したプログラムは2011年東北沖地震の地震時のすべり分布を推定するプログラムであった。昨年度に作成したプログラムに改良を加え、全国のGPS観測データ及び海底地殻変動等のデータを扱えるように仕様を変更し、また、FEMを用いた不均質構造を考慮したGreen関数を用いた解析にも対応させた。これらの解析結果は2011年東北沖地震に関する日仏国際シンポジウム(French-Japanese Seminar on Earthquakes and Tsunamis)での招待講演で発表を行った。なお、2011年東北沖地震の解析に関する成果の論文については現在、投稿準備中である。一方、CPUによる解析プログラムではあるが、モンテカルロ法に基づく逆解析をスマトラ断層とスンダ海溝に適用し、2004年のスマトラ地震の余効変動の影響を含んだ地殻変動場から、スマトラ断層の不均質な固着の状態を明らかにした。この研究成果は国際誌(J. Geophys. Res., doi:10.1029/2011JB008940, 2012.)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究計画は前年度作成したプログラムを用いてい解析した結果を国際誌に投稿することと複数のGPUにて解析できるプログラムを作成することであった。しかしながら、東北沖地震の新たな測地観測データを解析可能にするように、プログラムを改良し、FEMによる不均質な地下構造を考慮した、Green関数を用いて解析できるようにプログラムを改良しており、本来の目的が十分に達成できなかった。しかしながら、これらの改良したプログラムを用いた解析結果の成果を2011年東北沖地震に関する日仏国際シンポジウムでの招待講演で発表を行った。また、今回の成果を国際誌への投稿を今年度行う予定である。一方、CPUによる解析プログラムではあるが、モンテカルロ法に基づく逆解析を用いた解析成果は国際誌(J. Geophys. Res., doi:10.1029/2011JB008940, 2012.)に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
2011年東北沖地震の地震時のすべり分布をモンテカルロ法を用いて推定した結果を査読付き論文に投稿をおこなう。また、複数のGPUを用いた解析ができるように解析プログラムを改良し、さらなる高速化を試みる。作成した解析プログラムを他の研究者に使ってもらえるように、整備をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在の計算機ではメモリが少ないため、メモリの増強やHDDの増強を計画している。また、より効率的に開発ができるように環境整備をおこなう。これらの計画により、より効率的な計算と開発が可能となる予定である。
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