本研究の目的は、観測S波波形のフォワードモデリングにより、マントル最下部の低速度構造を詳細に調べ、マントル上昇流の形態を推定することであった。最初に、西太平洋の地震を北米の地震計で捉えた直達S波に、顕著な振幅異常を見つけた。解析の結果、この特徴は、コア-マントル境界上でハワイ下から数百km南西の局所的な超低速度異常により説明可能と分かった。有限波長の効果により、S波波形の歪みから、局所的な超低速度構造と広域低速度領域を区別することは難しい。広域低速度領域と見なされる構造が、実際は局所的な超低速度構造の集合体であり、マントル上昇流がプルームクラスターの形態を持つ可能性を示唆する結果を得た。
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