研究代表者が開発した三次元インバージョンプログラムを海底電磁場データに適用するために、海底地形の取扱方法と初期モデルの選定方法について議論した。また、これらの結果を踏まえて、フィリピン海で得られたデータとフレンチポリネシアで得られたデータのインバージョン解析を行った。得られた構造に対しては、分解能と電気伝導度異常体の感度を検証することによって、構造の信頼性を評価した。 最終年度である平成25年度は、主に、フレンチポリネシアのソサエティー・ホットスポットで上昇しているマントルプルームの三次元電気伝導度構造を求めた。研究を効率よく進めるために、フランスの共同研究者を2ヶ月間訪問した。現地では、フランス側が取得したデータの時系列解析を行い、さらに、日本とフランスの全観測データを使って三次元電気伝導度構造を求めた。その結果、ホットスポット直下には、マントル遷移層から表層まで続く高電気伝導度異常が認められた。岩石の高温高圧実験の結果を用いて、高電気伝導度の値を温度に変換した結果、地震波速度構造から得られる温度よりも高温であることが分かった。このことから、マントルプルームは高温であり、流体の存在が定性的に示唆される。今後、電気伝導度構造と地震波速度構造のジョイント解釈を進めていくことによって、定量的な議論を行う。 フィリピン海とフレンチポリネシアの上部マントルの三次元電気伝導度構造を地震波速度構造と比較した結果、電気伝導度の高電気伝導度異常と地震波速度の低速度異常が必ずしも一致しないということが明らかになった。この結果を踏まえて、両者の物性に対する感度を補完しあえるジョイント解釈の開発を進めていく予定である。
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