熱帯の積雲対流を引き起こす大気の状態を把握し、また逆に対流活動が引き起こす大気状態の変化を調べることは、熱帯のスコールのような激しい降水をもたらす物理機構を理解する上で不可欠である。本研究では、多様な衛星観測装置を駆使して熱帯大気と積雲対流の相互作用を追跡する新しい解析手法を開発し、既存の衛星データでは困難と考えられてきた1時間刻みの短期変動を抽出することに成功した。解析の結果、対流発生とともに大気不安定度が急速に減少するが対流の収束とともに緩やかに回復することや、激しい降水の「燃料」は主として自由対流圏の水蒸気収束が担うことなど、既存の知識に立脚しつつ同時に新たな知見をもたらす成果を得た。
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