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2011 年度 実施状況報告書

二重拡散対流による層状構造の発生と発展

研究課題

研究課題/領域番号 23740354
研究機関京都大学

研究代表者

野口 尚史  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10447906)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード二重拡散対流 / 混合過程 / 水塊
研究概要

本研究課題は、海洋中で層構造が二重拡散対流によって作られるメカニズムについて、数値実験・室内実験および理論により調べるものである。黒潮と親潮のように異なる温度・塩分を持つ水塊が接する海域では、温度・塩分の水平勾配が非常に大きい「熱塩前線」ができている。前線を挟んで密度がほぼ等しい場合であっても一般にこの前線面は二重拡散対流に対して不安定で、前線面は変形し、両側の水塊が薄い層に分かれて互いに貫入しあう現象が起きることが知られている。これは前線における微細スケールでの混合の大きな担い手であるため、海洋の循環を理解するうえで重要であると考えられる。既存(異なる問題について作成)の数値計算コードの改良を行なって数値実験を行なった。その結果、前線を挟む温度・塩分の差がある値を超えると、貫入する層の傾きが逆転することが分かった。これは貫入層の上下で生ずる2種類の異なる二重拡散対流の密度輸送の性質の違いによるものであることが分かった。それに伴なって貫入の速度や、水平の密度輸送にも大きな変化が見られた。この結果について論文を投稿準備中である。室内実験を行なううえでのパラメータ範囲や現象の性質などの見通しを得た。また、日本学術振興会「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」によりケンブリッジ大学に研究滞在した。当該研究課題の結果の一部についてもセミナーでの講演および英国の他大学の研究者と議論・情報交換を行なった。当該テーマについての動向や、研究の独自性を高めるための要点などについて重要なヒントを得た。なお、当該研究課題の前駆となる部分の研究に対して、日本流体力学会 竜門賞 を受賞した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請時には決定していなかったキャンパス移転が24年度夏季に行なわれることになったため、実験装置を購入・設置しても、すぐに輸送のため実験を停止せざるを得ない。また輸送による装置の破損・変形などの影響を避けるため、室内実験を移転後に延期することにした。また、日本学術振興会「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」によりケンブリッジ大学へ11ヶ月間派遣されることになったため、準備・渡航後の作業により研究計画が遅延した。

今後の研究の推進方策

上で述べたキャンパス移転により、室内実験の開始を遅らせることにしたため、実験に関わる費用の執行は次年度に持ち越した。装置設計について準備を整え、移転後に実験が速やかに再開できるように努力する。また、数値実験・理論については実験に先立って優先して進める。

次年度の研究費の使用計画

次年度に繰り越した分の研究費は計画通り、主に実験装置群の購入と設置に充てる。当初の計画で次年度分としていた研究費については、計算機の購入・維持費用として、また、成果発表のための旅費・投稿料などに使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 海洋中の層状微細構造の実態と形成・発達機構2011

    • 著者名/発表者名
      野口尚史
    • 雑誌名

      日本流体力学会誌「ながれ」

      巻: 30 ページ: 165ー168

  • [学会発表] 海洋中の層状微細構造の実態と形成・発達機構に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      野口尚史
    • 学会等名
      日本流体力学会年会2011(招待講演)
    • 発表場所
      首都大学東京(東京都)
    • 年月日
      2011年9月7日

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公開日: 2013-07-10  

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