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2012 年度 実施状況報告書

状態空間における存在確率分布の直接時間積分

研究課題

研究課題/領域番号 23740357
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

西澤 誠也  独立行政法人理化学研究所, 複合系気候科学研究チーム, 研究員 (40447892)

キーワード確率微分方程式 / 数値計算
研究概要

本研究では、気象・気候現象を念頭に置き、位相空間における存在確率分布関数の直接時間積分に関する研究を行う。
気象・気候モデルの自由度は非常に大きく、現時点ではその存在確率分布関数そのものを直接扱うことは困難である。したがって、本研究では、気象・気候モデルと類似点をもち、自由度があまり大きくない系を対象に、数値計算手法の開発を行い、実際に数値実験を行う。そして、それらの結果をもとに、将来の気象・気候モデルにおける存在確率分布の直接計算の可能性の検討を行う。
24年度は、23年度に作成した分布関数の時間発展スキームの改良を行った。計画では、23年度よりも自由度を上げて、ラグランジュ計算を対象にする予定であった。しかしながら、自由度を上げる事よりも、アルゴリズムの改良が必要であることが分かったため、23年度と同じく低次元カオス系をターゲットとした。また、計算結果の検証のため、超多数のモンテカルロシミュレーションの結果を真値としているが、自由度を高くすると、アンサンブル数を大きくすることが難しく、真値を得ることが難しくなることからも、自由度は据え置いた。そして、確率微分方程式の直接数値計算の計算精度および計算効率の改善をおこない、23年度の実装に比べ計算精度および計算効率の向上に成功した。
しかしながら、自由度の増加に対すして、計算量が大幅に増加することから、今後、更なるアルゴリズムやスキームの改良が課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の目的は、比較的大きな自由度の系における確率分布の時間発展方程式の直接計算について、計算スキームの開発および、アンサンブル計算との比較を行う。そして、大気システムのような非常に大きな自由度の系における分布関数の直接数値積分の将来的な実現可能性の検討を行うことである。
自由度の小さな系に置いては、確率微分方程式の時間発展を数値的に計算することが出来るようになったが、現在のアルゴリズムでは、自由度が上がると、計算量が指数関数的に増大する。
したがって、本年度予定していた自由度での実験は行わず、23年度と同じ自由度の問題で、アルゴリズムの改良を優先した。
しかしながら、改良したのアルゴリズム・スキームでも、最終的に想定している自由度の計算は困難である。
従って、現在、アンサンブル的な手法も視野に入れて、大幅なアルゴリズム・スキームの改良を行っており、本改良は25年度前半までかかる見込みである。

今後の研究の推進方策

24年度までは、計算精度を重視していたため、実装していたアルゴリズムは、自由度の増加に対する計算量の増加が指数関数的であった。今後は、これまで行っていた差分法による計算だけでなく、より大胆な近似を行ったり、SPH法や、粒子法のアイデアを取り入れることで、自由度に対する計算量の伸びを指数関数では無く、線形に近い増加量に抑えるアルゴリズムを検討する。
年度前半は、低次元カオス系を対象に計算を行い、変更後のアルゴリズムの精度や計算効率の検証を行う。年度後半は、変更後のアルゴリズムを用いて、偏微分方程式である浅水方程式系を対象として計算を行い、その有効性の検証を行う。

次年度の研究費の使用計画

24年度は、想定していたよりもやや進捗が遅れたことで、予定していた成果発表を25年度に先送りすることとした。
25年度は、研究打ち合わせおよび成果発表のために国内出張を4回予定している。また、昨年度購入した計算機に計算結果を保存するためのストレージを増強を行う。

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公開日: 2014-07-24  

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