研究課題
気候システムにおける雲の役割を定量的に理解するためには、衛星観測データによる雲/降水の微物理特性の全球分布及びその生成要因の解明とモデルを組み合わせた研究を行う事が有効であると考えられる。本研究課題では、衛星搭載能動型測器による雲観測データから特に上層雲に関して検証された雲微物理特性抽出手法の開発と全球分布の取得、開発した手法を用いたモデルの検証を目的としている。平成24年度は前年度に開発を行った上層雲微物理解析手法に関して、特に衛星から得られる観測量の数が少ない雲域での微物理特性抽出のパフォーマンスを向上させるためにさらに検証を進め、解析アルゴリズムの改良を行った。また、ライダ・雲レーダ波長における雲や降水粒子の散乱特性に関する理論的研究も発展させ、開発したアルゴリズムに応用する事で降水/雪粒子にまで解析対象の拡張を行った。CloudSat衛星搭載の雲レーダ及び、CALIPSO衛星搭載のライダデータから抽出した雲の微物理特性と、再解析データなどから得られた気象データを総合的に解析するためのデータ作成を行った。作成した全球解析データから観測された雲粒子のライフステージ(生成過程、成長過程、消滅過程)の分類とそれらの物理特性、発生頻度の統計的な解析を全球で実施した。得られた研究成果は国内外の学会及び国際雑誌で発表した。また、気候モデルの検証に使用する衛星搭載雲レーダ・ライダシミュレータの整備にも着手した。
1: 当初の計画以上に進展している
本年度は平成24年度に予定していた研究計画の他、翌年度実施予定であった気候モデル用の衛星搭載雲レーダ・ライダシミュレータの整備にも着手し、シミュレータ計算時間の短縮化も図った。これらの成果により最終年度に実施予定の研究計画が円滑に進むと期待される。
最終年度は、既に開発に着手した気候モデルの出力結果を CloudSat衛星/CALIPSO衛星で観測されるものと同じ感度にあわせるシミュレータに関して、レーダ・ライダのフォワードモデルの改良と拡張を実施する。 作成したシミュレータとCloudSat/CALIPSO衛星データの解析結果を使用し、雲物理特性の三次元分布のモデル内での再現性を評価する。モデルの雲と観測により得られた雲の相違の要因の解析と、モデルにおける雲の取り扱いの改善を目指す。 最後に結果をとりまとめ、研究成果発表を行う。
該当なし
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (14件)
Current problems in Atmospheric radiation (IRS 2012), Proc. international radiation symposium, AIP conference proceedings
巻: - ページ: -
Current Problems in Atmospheric Radiation (IRS2012), Proc. International Radiation Symposium, AIP conference proceedings,
Reviewed and Revised Papers, 26th International Laser Radar Conference
巻: - ページ: 737-740
巻: - ページ: 687-690