本研究は、日本南岸沖の黒潮沿岸域におけるサブメソスケール変動を再現できる海洋モデルを構築し、黒潮前線付近から沿岸方向に間欠的に生じる暖水波及の発生過程を究明した。さらに、海洋モデルの流動場を用いて各種稚仔魚(以下、シラス)を模した輸送実験を行い、沖合から沿岸域へのシラス来遊経路の推定と沿岸シラス漁場の形成機構の解明を行った。その結果、典型的で大規模な暖水波及時には、沖合から沿岸に大量のシラスが供給される可能性はあるが、滞留時間が短いため漁場形成は短期的になり、一方、小規模な暖水波及が発生し、沿岸域での海水の滞留時間が長い場合においては、好適なシラス漁場が長期間継続されることが推察された。
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