研究概要 |
2013 年度も、レゾリュートベイにおいて RISR-N と OMTIs 全天イメージャによるポーラーパッチ/極冠オーロラの同時観測を実施した。本年度は、研究代表者が所属する電気通信大学がノルウェーのスバールバル諸島において運用している全天大気光イメージャとの広域同時観測によって得られたデータの解析も行い、ポーラーキャップパッチの空間構造を 3 次元的に、かつ広域に可視化することに取り組んだ。 ポーラーキャップパッチを OMTIs 全天イメージャと RISR-N、電通大スバールバルイメージャによって同時に観測した事例を解析した。この事例においては、2 台のイメージャがポーラーキャップパッチに伴う 630.0 nm 大気光の増光を観測し, RISR-N が光学観測によって検出されたパッチと調和的な傾向を示す電子密度の増大を観測した。2 つの大気光イメージャとレーダーを組み合わせてパッチの構造を観測したことによって、パッチの空間スケールや形状を見積もることができた。その結果、パッチは朝夕方向に伸びた形をしており、そのスケールは 2000 km にも達することが判明した。また、昼夜方向の空間スケールは 500 km 程度であることも分かり、パッチの形状が非等方的であることが示された。このような非等方的で朝夕方向に広がった形状のパッチは、パッチの生成領域がローカルタイム方向に広がっていることを示唆し、パッチの生成メカニズムの決定に対してある種の制約を与えるものである。また、RISR-N によって高度方向のパッチの広がりを見積もることができたため、今回の観測によってパッチの 3 次元構造を広域に可視化することができた。 極冠オーロラについても、RISR-N と OMTIs による観測だけでなく、電通大スバールバルイメージャのデータを加えて広域に可視化を行い、その成果を学会等で発表した。
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