研究概要 |
本研究グループがこれまでに開発してきた並列版多次元ブラソフコードを用いて、日本国内において最近配備されたスカラ型スーパーコンピュータにおける性能評価を行った。東京大学のFX10・76,800コア(4800ノード)で実効効率16.9%、並列効率96%、理化学研究所の京コンピュータ・65,536コア(8192ノード)で実効効率15.3%、並列効率83%、九州大学のCX400・16384コア(1024ノード)で実効効率16.2%、並列効率72%を達成した。また、これらの成果により、HPCI「京」若手人材育成利用課題に採択された。 また本研究では、計算格子スケールの数値ノイズを除去できる性質を持つブラソフコードによってイオンジャイロ運動と天体表面への帯電効果を同時に扱い、弱磁化小天体のグローバルブラソフシミュレーションを世界で初めて成功した。太陽風プラズマの圧縮によって昼側にバウショックが現われ、夜側にはウェイクと呼ばれる低密度構造が現れることを再現した。本研究では特に、太陽風イオンのウェイク内への侵入過程について着目した解析を行った。その結果、昼側の閉じた磁力線付近に現れる磁気圏境界面で太陽風イオンが反射し、その一部が惑星間空間磁場によって加速され、ジャイロ運動によって夜側ウェイク領域に運ばれることが分かった。これらの成果は現在論文として投稿中である。また本課題の超高解像度計算が京コンピュータを用いて進行中である。
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