研究概要 |
東部赤道太平洋で掘削されたIODP Exp. 321, Site U1338, Hole Bの全267試料について,生層序学的分析を実施した.その結果,合計35生層準を認めた.この途中成果については,2011年4月にパリのピエール&マリーキュリー大学で開催されたExp. 321のポストクルーズミーティングでポスター発表した.また,このサイトのコア30H~40Hについては浮遊性有孔虫の群集解析を実施し,18属58種の浮遊性有孔虫を見出すとともに,中期中新世の南極氷床拡大イベント時に群集組成が変化していることを明らかにした.北西太平洋,熊野沖で掘削されたIODP Exp. 315, Site C0002, Hole Dの全67試料について詳細な浮遊性有孔虫分析を行い,14属34種の浮遊性有孔虫を見出すとともに,最近約90万年間の群集変動を明らかにした.群集解析の結果をもとに,この海域の氷期の黒潮流路に大きく2パターンがあることを明らかにした.同じく熊野沖で掘削されたIODP Exp. 322, Site C0012, Hole Aの全51試料について生層序学的分析を実施した.その結果,103種の浮遊性有孔虫を見出すとともに,中期中新世~鮮新世までの15生層準を認めた.また,北西太平洋地域ではデータが少ない後期中新世について,群集変化により水塊変動を考察した.既に分析結果が得られているSite C0001の結果と,今年度に得られたSite C0002, Site C0012の結果を総合することによって,熊野沖における中期中新世以降の浮遊性有孔虫生層序を確立することができた.
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