研究課題
・熊野沖NanTroSEIZEプロジェクトについては,2012年から2013年にかけて新たに掘削されたIODP第338次航海のコアを試料請求し,浮遊性有孔虫による生層序を決定した.この成果の一部についてはIODP Proceedingsとして出版した.なお,高分解能の試料請求を行ったSite C0002についての分析は2013年度に集中的に実施し,群集解析によってMPT初期の海洋環境変動を考察した.現在は成果のとりまとめ中である.・上記の成果を含め,熊野沖NanTroSEIZEプロジェクト全体の浮遊性有孔虫生層序を総括した.この成果については国際学会で発表した.・赤道太平洋年代トランセクト(PEAT)計画については,年代指標種Paragloborotalia siakensisの形態解析結果に基づき分類学的位置づけを明確にした.また,長周期の殻サイズ変動パターンを明らかにし,その古海洋学的・生層序学的意義を指摘した.この成果については,指導する大学院生が国内学会および国際学会で公表した.・これまでに確立した浮遊性有孔虫生層序を日本の陸上セクションの新第三系に適用し,その有効性を実証的に明らかにした.2013年度は島根県の久利層および宮城県の旗立層についての成果が学術雑誌に出版された.・なお,交付申請書に記載した研究実施計画のうち,PEATサイトにおける天文軌道要素校正については,共同研究者らが進行中であるものの,まだ完了の見通しが立っていない.したがって,太平洋地域の天文軌道要素校正に基づく高精度浮遊性有孔虫生層序は今後の課題として残されている.新しく出版された年代尺度(GTS2012; Hilgen et al., 2012)でも未解決の問題が指摘されており,今後も共同研究者と密接に連携しつつ,この分野のサイエンスを前進させていく決意である.
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