研究課題
本研究課題では、茨城県東海村の大強度陽子加速器研究施設J-PARCにおけるBL11(PLANET)に設置された大容量の6軸型高圧発生装置を用いて含水珪酸塩融体の高圧中性子回折を行うための技術開発に取り組んだ。X線に比べ格段に散乱強度の低い中性子線による回折強度を向上させるため、これまで高圧X線回折実験に用いられてきた6-6型加圧方式のセル構成の最適化、大型化を行なった。まず、これまで広く使用されていたボロンエポキシ製の圧力伝達媒体を中性子線に対して比較的透明かつ断熱性の良いZrO2製のものに変更し、圧力伝達媒体としての性能を評価した。ZrO2製の圧力伝達媒体で加圧テストを行ったところ、これまでのボロンエポキシ製のものと比べ、やや圧力発生効率は劣るものの、十分圧力伝達媒体として使用できることを確認した。続いて、試料容積を大容量化するため、圧力伝達媒体のサイズを大型化させつつ、圧力発生の変化を調べることで、圧力発生と試料容積の拡大が共に満足される条件を探査した。その結果、加圧前の試料体積は少なくとも直径3mm、高さ3mmの円柱状の試料を高圧セル中に封入が可能となり、室温下では、10GPaまでの高圧発生を可能にした。高温発生のテストには圧力伝達媒体中に管状グラファイト製加熱体を設置し、高圧下での加熱を行った。その結果、少なくとも1500 K、約7GPaの条件で安定な加熱が可能であることを確認した。上記の技術を用いて、PLANETにおいて予備的なデータの収集を行った。試料は約3GPa、1300Kで合成した含水NaAlSi3O8ガラス(含水量7.5 wt%)及び同無水のものの二種類を使用した。実験の結果、両試料とも約7 GPaまでの圧力で中性子回折測定を行い、約30A-1までの回折データを得ることができた。今後、構造因子を求めるための強度補正等について検討を進める予定である。
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ニューガラス
巻: 109 ページ: 未定
Photon Factory Activity Report 2010 Highlights
巻: 28 ページ: 46-47
http://yagi.issp.u-tokyo.ac.jp/shingakujutsu/magma.html