研究概要 |
固体の性質とプラズマの性質を併せ持った低温・高密度プラズマの一種であるWarm Dense Matterは,木星や土星などの巨大惑星の内部や慣性核融合の燃料標的などで形成される.Warm Dense Matter領域の状態方程式や輸送特性を明らかにする事で,高エネルギー密度現象が寄与する様々な問題を明らかにする事ができる.しかしながら, Warm Dense Matter領域は,\ul{原子が集団としての振る舞う性質(金属的)とプラズマとして振る舞う性質をもつ中間領域の状態であるため,状態方程式や輸送係数を既存のモデルで表現するための実験的データ量も乏しく,定量的に依存性を示すことができる理論モデルを構築する事が困難であった. Warm Dense Matter領域の物理を明らかにするため,申請者らはサファイアキャピラリーを用いたWarm Dense Matterの定積加熱法を提案し,密度-温度を直接計測しながら,直流導電率,自発光反射計測法による誘電応答関数から交流導電率の観測が行えることを実証するため,発光を利用した反射光学系と 16ch のフォトダ イオードを用いた簡易分光システムを組むことで交流導電率を同時に計測できるシステムを構築した.これにより, 電子密度及び衝突時間の概算が出来るようになったが,直流導電率が極小となる低温 · 高密度プラズマの領域では, 交流導電率の自由電子近似が出来なくなることが明らかとなった.
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