研究課題
本研究では、放電プラズマにより生成したヘリウム準安定励起原子をセンサ原子とした高感度光ポンピング原子磁気センサの検討をした。光ポンピング原子磁気センサとして適した放電セルの条件を見つけるため、アルカリ金属原子を用いた従来型の光ポンピング原子磁気センサの基礎特性を調べ、磁気センサのセンサセルとして必要な密度とレーザ強度、それに対応する磁場感度の相関について検討を行い、高感度な磁気センサを得るための指針を得た。その知見をもとに、超高真空下においてガラスセルを300℃で24時間程度加熱した後、その内部にヘリウムを封入し残留大気成分を極力排した状態で放電セルを作製した。これらのセルに対して発光分光、レーザ吸収分光を行い、極微量の残留大気が存在すること、ヘリウム準安定励起原子の密度が従来の光ポンピング原子磁気センサのセンサ原子の密度に達することを実験的に明らかにした。しかしながら、封止の状態または放電を繰り返しによって、ガラスに付着している酸素が徐々に脱離し、放電の素過程が変わってくるため、封止やセル内壁の処理が必要になることがわかった。最終年度には、作製したセルを実際に光ポンピング原子磁気センサとして動作させ、その磁場感度を計測した。環境磁場ノイズが支配的であり、従来の光ポンピング原子磁気センサよりも感度は劣るが、磁気センサとして動作することを確認できた。それと同時にスピン交換衝突を利用したセンサの開発も行い、その基礎特性を調べるため、カリウムとルビジウムの2種類のアルカリ金属原子を使用したハイブリッドセルのセンサ特性の空間分布についても調べ、従来のセンサよりも高い空間均一性を有することを確認した。これをもとに、ヘリウム準安定励起原子のスピンをカリウム原子に移行させるセンサについても検討し、磁気センサとして動作することを確認した。
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電子情報通信学会技術研究報告
巻: Vol.112, No. 479 ページ: 31-34
電気学会研究会資料(マグネティックス研究会)
巻: MAG-12-081~101 ページ: 61-66