本研究は、「プラズマ揺らぎとナノ界面特性揺らぎの相互作用ダイナミックス」の解明を目的に、研究を推進してきた。今日のプラズマを用いたナノテクノロジーの世界的進展によりULSI、高密度メモリー、MPU、バイオセンサーやソーラーセル等のナノサイズデバイ ス創成が可能である。しかし、それらのナノデバイスの微細化の進展に伴い、プラズマの揺らぎとナノ界面の特性の揺らぎ(ばらつき)が重大な問題となっている。サブナノメータ(1nm以下)領域の微細加工寸法の揺らぎはプラズマ揺らぎとナノ界面の相互作用長(またはそれ以下)で決定されているので、従来方法の入射電力やガス流等のパラメタ調整では制御困難であった。そこで本研究は、プラズマ気相中に揺らぎを外部から印加し、制御することで、プラズマ揺らぎの効果を体系的に明らかにした。 具体的には、高速度カメラを用いて、ナノ粒子量の揺らぎを計測し、ナノ粒子量の時空間構造を明らかにした。これにより、ナノ粒子が、プラズマ気相中の揺らぎによって、空間的にどのように影響を受け、どのように揺らぎ、そして、成長しているかが明らかになった。ナノ粒子揺らぎに構造解析を適用したことによる結果であり、プラズマ気相中におけるナノ粒子成長の研究において、新境地を開拓したと言える。また、高速度カメラを用いたプラズマ揺らぎによるナノ粒子の詳細な時空間構造の理解に大きな進展があった。 また、高速度カメラを用いることで、プラズマ揺らぎとナノ粒子輸送の関係も明らかにした。プラズマ揺らぎ度合いが大きい程、ナノ粒子は大きな速度をもって、輸送されることがわかった。そして、プラズマ揺らぎと固相中ナノ粒子特性の関係を明らかにするため に、二次電池の電極を作成し、二次電池電極特性を計測した。電池容量、サイクル特性共にプラズマ技術作成したナノ粒子含有電極の方が、従来の方法よりも良い成果を出した。
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