研究課題
本研究では、短波長光源開発への応用や、核融合プラズマ中の不純物挙動の理解を念頭に、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)で生成される光学的に薄い高温プラズマを光源として、現状では未解明の部分が多い、高原子番号(高Z)多価イオンからの極端紫外(EUV)スペクトルを観測し、理論計算や他の基礎実験との比較検討を行うことで、発光機構や原子番号・電子温度依存性の理解を深めることを目的とする。最終年度である平成25年度は、EUVスペクトルの原子番号依存性の詳細な理解を念頭に置き、前年度までに測定された元素からさらにZの範囲を広げて、高Z元素の入射・EUVスペクトルの観測実験を実施するとともに、成果のまとめとして関連の国際会議等において成果発表を積極的に行った。また、パラメータの異なるレーザー生成プラズマとの比較の観点から、海外研究協力者だけでなく国内のレーザー生成プラズマ関連の研究室との共同研究を展開するため、国内の研究会等にも積極的に出席した。EUVリソグラフィー用光源開発関連の元素では、新たにサマリウム、エルビウム、イッテルビウム、ルテニウムを入射し、Z=60から71に至る系統的なデータを取得することができ、GRASPコードによる理論計算との比較検討を進めた。また、水の窓光源開発関連では、ビスマスに加えて金、鉛のデータも取得し、Cowanコードによる理論計算や、レーザー生成プラズマにおけるスペクトルとの比較検討を進めた。これらの研究成果は、Physica Scripta誌の論文としてまとめるとともに、8月にベルギーで開催された「天体・実験プラズマの原子スペクトルに関する国際会議」において招待講演として発表し、また11月にアイルランドで開催された「EUV・軟エックス線光源に関する国際ワークショップ」における口頭講演として発表した。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Physica Scripta
巻: T156 ページ: 014078-1-3
10.1088/0031-8949/2013/T156/014078