研究課題/領域番号 |
23750001
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
角山 寛規 慶應義塾大学, 理工学研究科, 講師 (40390661)
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キーワード | 有機分子保護金クラスター / マイクロリアクター / 合金クラスター / 電子構造 / 触媒作用 |
研究概要 |
金属ナノクラスター触媒は、元素毎の電子構造の違いによって多様な反応性を示すが、その電子構造と機能の相関を系統的に理解することは容易ではない。本研究では、複合金属クラスターのサイズ・組成を精密に制御しに合成する方法を確立し、原子レベルでサイズ・組成と触媒活性の関係を解明し、電子構造と反応性の相関を明らかにする。昨年度開発したマイクロフロー型リアクターを用いて、Au-Pd二成分ナノクラスターの精密合成に取り組んだ結果、① バッチ式反応に比べてサイズ分布の少なく、② Au:Pd=100:0 ~ 0:100のどの組成においても、1.3 nm程度の単分散ナノクラスターの合成に成功した。X線構造解析および質量分析の結果から、いずれの組成比においても均一な固溶体が得られていることを確認した。個別の粒子間の組成のばらつきについても、マイクロリアクターを用いることで、均一組成のナノクラスターを得ることに成功した。空気酸化反応に対する触媒活性を評価した結果、Pd比20%程度の合金ナノクラスターにおいて、80%程度活性が増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である、金属クラスターの電子構造と酸化触媒作用の相関の解明に向けて精密合成法の構築と触媒活性・構造評価を進めた。AuPd系において、サイズおよび組成の均一なナノクラスターの合成に成功した。空気酸化触媒反応におけるPdの複合効果について、活性のサイズ特異性とは独立に複合化による効果を抽出することに成功した。今後は、複合化による活性増大の起源について、電子構造の観点から評価を進める。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、合成した一連のナノクラスターについて電子構造を評価し、電子構造-触媒機能相関の解明を進める。加えて、他の金属系への適用を中心とした合成方法の一般化を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度に合成に使用する装置・器具類の整備はほぼ終了しており、試薬・器具等の消耗品の整備および学会等での成果発表に研究費を使用する。
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