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2011 年度 実施状況報告書

カーボンナノチューブのナノ構造制御と局所発光物性

研究課題

研究課題/領域番号 23750004
研究機関東北大学

研究代表者

片野 諭  東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00373291)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード走査トンネル顕微鏡 / カーボンナノチューブ / 局所発光 / 走査トンネル顕微鏡発光分光 / ナノマニピュレーション
研究概要

本研究の目的は、走査トンネル顕微鏡(STM)により単一カーボンナノチューブ(CNT)の発光過程を高い空間分解能で明らかにし、その発光現象を制御することである。本研究では、STM探針から放出されるトンネル電子を理想的なナノスケール発光誘起源として利用できることに着目し、CNTの不均一構造に起因する局所的な励起子の振る舞いおよび発光ダイナミクスを究極の空間分解能で明らかにすることを目指した。 初年度である平成23年度において、本課題の遂行に必要なシステム構築を主に行い研究環境を整えた。CNTを超高真空装置内で固定化するためのサンプルホルダーを自作した。また、粉末有機分子および表面絶縁層を形成させるために必要な蒸着装置を自作した。 単層CNTをジクロロエタン溶媒に分散させ、ドライコンタクト法により試料基板上への固定化を試みた。その結果、大気環境下においてグラファイト基板上に孤立したCNTを比較的良好に固定化できることが分かった。しかしながら、試料表面の一部に物理的なコンタクトに起因するダメージが見受けられることが原子間力顕微鏡による表面観察により分かった。このような試料破壊を防ぐためには、CNTを試料表面に転写する際のコンタクト圧をできるだけ小さくする必要があることがわかった。ドライコンタクト法を超高真空装置内で実現できるように既存の装置を改良し、Au基板にCNTを固定化できることを確認した。 また、自作した蒸着装置を用いて、Au基板への塩化ナトリウム蒸着を試みた。その結果、800 K程度の加熱により塩化ナトリウムをAu基板へ固定化できることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度の交付申請書に記したとおり、当年度にシステム構築を行い局所光学実験に必要な研究環境を整えた。真空蒸着装置およびカーボンナノチューブ固定化システムを本年度内に完成させることができた。また、期待されるパフォーマンスが自作装置によって得られることが分かった。

今後の研究の推進方策

平成23年度に構築したシステムを基にして、平成24年度ではカーボンナノチューブの極微領域における発光計測を行う。CNT鎖の不均一吸着構造をSTM像から判別し、局所領域における発光現象を明らかにする。また上記で得られた発光物性を局所電子状態と結びつけるために光検出器、STMイメージング系、外部STS測定系をコンピューターを利用して同期できるようなシステムを構築する。さらに、STM探針からCNTに電圧パルスを印加することでCNT鎖内の部分加工を試みる。その際、電圧・電流のパラメーター設定により、再現性よくCNTを加工することができるか確認を行う。さらに、本研究課題で得られた極微領域におけるカーボンナノチューブの光物性についての研究結果をすみやかにまとめ、国内・国際学会での発表および国際学会誌への論文投稿による成果発表を行う。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は、今年度研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額、および今年度末に参加予定していた出張の止む得ない直前のキャンセルによる未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。次年度に購入する物品は、装置制御・解析のパソコン、真空部品、光学部品、電気部品、化学薬品、システム制御ソフトウェアーなどを含む消耗品である(一式50万円以上の備品を含まない)。また、本研究課題で得られた成果を国内および国外学会で発表するために必要な旅費として次年度研究費から使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Mechanism of Prism-Coupled Scanning Tunneling Microscope Light Emission2011

    • 著者名/発表者名
      M. Iida, J. U. Ahamed, S. Katano, and Y. Uehara
    • 雑誌名

      Jpn. J. Appl. Phys.

      巻: 50 ページ: 095201_1-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 走査トンネル顕微鏡発光分光による単一原子・分子が有するナノ物性の探索2011

    • 著者名/発表者名
      片野諭, 上原洋一
    • 雑誌名

      応用物理

      巻: 80 ページ: 0960-0965

    • 査読あり
  • [学会発表] Prism-Coupled Scanning Tunneling Microscope Light Emission analyzed by Finite-Difference-Time-Domain Method2011

    • 著者名/発表者名
      W. Iida, S. Katano, and Y. Uehara
    • 学会等名
      The 19th international colloquium on scanning probe microscopy (ICSPM19)
    • 発表場所
      Toyako Manseikaku
    • 年月日
      2011年12月19日
  • [学会発表] Scanning Tunneling Microscope Light Emission Study of the Au Substrate Covered with Alkanethiolate Molecule Monolayers2011

    • 著者名/発表者名
      S. Katano, W. Iida, and Y. Uehara
    • 学会等名
      The 19th international colloquium on scanning probe microscopy (ICSPM19)
    • 発表場所
      Toyako Manseikaku
    • 年月日
      2011年12月19日

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公開日: 2013-07-10  

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