今後の研究の推進方策 |
(1) 分子動力学プログラムの実装 量子化学計算プログラムとのインターフェースを備えたボルン・オッペンハイマーMDを実装する。MD計算から吸収スペクトルを抽出す るために [Noid et al, JCP (1977)]、系の双極子モーメントの自己相関関数を計算する。これをフーリエ変換することにより吸光断面積を求める。 (2) DFT-LRD の高速化 DFT-LRD 計算のボトルネックは、自己無撞着場 (SCF) の手続きにおけるクーロン、厳密交換、および交換相関汎関数からの寄与を含 むFock行列の繰り返し計算である。この中で、厳密交換項の効率化が最も難しいが、弱い分子間力や結合変換を精度良く記述するため に不可欠である。本研究ではデュアルレベル (DL) 法 [Nakajima and Hirao, JCP (2006)] を用いて計算の高速化を図る。 (3) DFT-SAPT法の開発 対称適合摂動論(SAPT)は、単量体の波動関数を基底として二量体の分子間相互作用を摂動展開する高精度な分子間力計算手法である。 本研究ではLC-DFT [Iikura, JCP (2001); Sato et al, JCP (2005)] に基づくDFT-SAPTを開発し、精密な分子間相互作用解析を可能にする。
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