研究課題/領域番号 |
23750012
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀尾 琢哉 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40443022)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 時間分解光電子イメージング / 光化学反応 / 核波束ダイナミクス / フェムト秒パルス |
研究概要 |
本研究では、深紫外領域(200 - 300 nm)において"波長可変"な10フェムト秒極短パルス光源を開発し、時間分解光電子イメージングの励起光に応用することで、円錐交差近傍における多原子分子の核波束ダイナミクスを明らかにすることが目的である。本年度は、まず始めに上記の光源開発に必要となるドライ真空ポンプ、マルチチャンネル分光器(波長範囲200 - 1100 nm)、レーザーパワーメータ(深紫外光用)などの備品類、および光学部品を購入した。また既存のチタンサファイア増幅器の出力(790 nm, 30 fs, 2 mJ @1kHz)から、自己位相変調光を発生させるための希ガスセルの設計および製作を行った。一方で、既報のフィラメンテーション四光波混合により真空紫外光パルス(中心波長157 nm)が発生されたことから、この真空紫外光パルスを時間分解光電子イメージングの検出(イオン化)光として積極的に利用するため、既存の差動排気型の真空チャンバーの整備を行った。検出光の波長が当初計画していた200 nm (6.2 eV)から157 nm (7.9 eV)まで短波長化されたことにより、励起-イオン化状態間のフランクコンドン因子を広いエネルギー範囲で観測することが可能となり、核波束ダイナミクスをより詳細に議論できると期待される。既にこの真空紫外光パルスによるキセノン原子(イオン化エネルギー=12.13eV)の非共鳴二光子イオン化信号を確認しており、本研究の時間分解光電子イメージングにおいて使用する検出光の準備は整ったと言える。次年度では、波長可変の深紫外極短パルスとこの真空紫外光パルスを組み合わせた時間分解光電子イメージングを進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は波長可変の深紫外光パルスを発生させるための準備にとどまったが、検出光として当初の計画よりも短波長の真空紫外光パルスの利用が可能となったため、総合的見地から判断すると、本研究はおおむね順調に進んでいると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
波長可変の深紫外極短光パルスを発生させ、それを真空紫外光パルスと組み合わせることにより、時間分解光電子イメージングの光源に適用する。同実験手法を用いて、芳香族分子の高速光化学反応を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究に必要な備品類は全て揃っているので、研究計画通り、次年度は光学部品などの消耗品を購入する。
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