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2011 年度 実施状況報告書

有機色素ナノ粒子の光エレクトロニクス物性と電子移動

研究課題

研究課題/領域番号 23750022
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

三浦 智明  慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (80582204)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード色素ナノ粒子 / 電子移動 / スピンダイナミクス / 磁場効果
研究概要

本研究の目的は次世代の光エレクトロニクス材料として期待されている有機色素ナノ粒子の光電子物性を、分子科学的観点から解明することである。溶液プロセスを用いて作製したポルフィリンナノ粒子の表面に酸化還元活性のあるプローブ分子を導入し、光励起によって電荷注入を行う。電荷分離、および再結合速度の測定から、粒子内の励起子および正孔拡散過程を観測する。さらにスピンダイナミクスの観測から電子-正孔対の相互作用、ダイナミクスを抽出し、ナノ粒子の光エレクトロニクス物性と色素モノマーの化学構造との関連を明らかにする。 本年度はまず、ポルフィリンナノ粒子表面に導入するプローブ分子としてアクセプター性を持つナフタレンビスジイミド(NDI)誘導体の有機合成を行った。ナノ粒子水分散系において評価を行うため、水溶性を有し、かつ亜鉛ポルフィリンに結合するための配位部位を持つ化合物の合成に成功した。基礎的な物性評価のためにまず有機溶媒中において、亜鉛ポルフィリン誘導体との会合および、光誘起電子移動を蛍光および過渡吸収法によって確認した。ここから、合成した化合物が本研究目的に合致した特性を有することが確認された。しかし、強蛍光性の不純物が定量的な測定を阻害していることがわかり、現在種々の方法による精製を行っている。終了次第、有機溶媒および水中での会合、電子移動の確認を行い、ナノ粒子系に展開する予定である。 また、これと並行して過渡吸収検出磁場効果システムの構築を行った。既存のナノ秒過渡吸収システムに本研究費によって購入した電磁石、および別予算で購入したガウスメーター等を導入した。本装置を使用して、アクセプター吸着型ミセルにおける光誘起電子移動反応に対する磁場効果を観測し、電子移動メカニズムの検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当該年度はアクセプタープローブ分子の合成、物性評価と過渡吸収検出磁場効果システムの構築を目標としていたが、これらの目標はほぼ達成できた。これのみならず、新規ミセル系において特徴的な磁場効果の観測に成功した点は当初の計画以上の成果であったと言える。

今後の研究の推進方策

精製したアクセプタープローブ分子とポルフィリンモノマーとの会合、および電子移動に関して、蛍光寿命、過渡吸収、および磁場効果を用いた定量的な測定を行う。その後すでに作製に成功しているポルフィリンナノ粒子水分散系における測定を行い、光エネルギー、電荷ダイナミクスに関する検討を行う。また、新たなプローブ分子の合成に着手する。

次年度の研究費の使用計画

当初本研究費にて導入予定であった、ガウスメーター、電磁石用電源等については別予算にした上、委託業務にて行う装置自動化システム開発のスケジュールが遅れているため、多額予算を次年度に持ち越すこととなった。予定していた自動化システムの構築および、さらなる有機合成に伴う消耗品費、集合体構築のための装置導入等にこれらの予算を充当する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 長鎖アルキルビオローゲン-ミセル複合体における光誘起電子移動とスピンダイナミクス2012

    • 著者名/発表者名
      三浦智明 羽曾部卓
    • 学会等名
      第92回日本化学会春季年会
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2012年3月27日
  • [学会発表] 疎水相互作用を利用した長寿命電荷分離系構築の試みおよび電荷分離状態のスピンダイナミクス2011

    • 著者名/発表者名
      三浦智明 羽曾部卓
    • 学会等名
      第50回電子スピンサイエンス学会年会
    • 発表場所
      仙台国際センター
    • 年月日
      2011年11月16日

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公開日: 2013-07-10  

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