研究概要 |
デンドリマーを不溶性のクロモフォアーに導入する研究は、機能性分子の分子デザインの観点から注目されている。デンドロン型置換基の導入により、溶解性の低い光増感剤にデンドリマー型置換基を導入することで自己消光を抑制し,性能向上を狙うアプローチは,特に、高い一重項酸素光増感機能を持ちながらあらゆる溶媒に対する溶解性が極端に低い分子に効果的と考えられる。一重項酸素の増感作用が発現しペンタセンと硫黄との反応により、共役を拡張した溶解性の高いヘキサチオペンタセンの合成に成功した。ヘキサチオペンタセンは700 nm以上の波長に極大吸収を持ち、一重項酸素増感剤として働いた。従来、光増感剤としての機能が知られていないのに、デンドリマー内部に導入することで、はじめて光増感剤として働いたという例は大変珍しい。特に、無置換のヘキサチオペンタセンは凝集力が高く、分子間の相互作用により本来持っている機能を十分に引き出すことは難しいが、ヘキサチオペンタセンにデンドリマー型置換基を導入することで、ヘキサチオペンタセンを1外界から孤立化し、ヘキサチオペンタセン本来の性質を引き出した点は大変興味深い。
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