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2011 年度 実施状況報告書

ハロゲン化物イオンの酸化還元特性を利用する触媒的酸化カップリング反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23750042
研究機関高知大学

研究代表者

永野 高志  高知大学, 自然科学系, 助教 (80500587)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードグリーンケミストリー
研究概要

ハロゲン化物イオンの酸化還元特性を活用する酸化カップリング反応の開発研究において23年度に得られた成果は以下の通りである。1、酸素を酸化剤とするケトンの酸化的α―アシロキシ化反応の開発に成功した。我々の設計したハロゲン化物イオン触媒では、有機基質の酸性プロトンを電子受容体とすることによって、ハロゲン化物イオンからハロゲン単体への酸化を行うことが鍵である。ハロゲンの酸化還元電位によれば、この過程はヨウ化物イオンを用いることによって酸素を酸化剤として進行させることが可能であると考えた。そこで、実際に触媒量のヨウ化テトラブチルアンモニウム存在下、酢酸溶媒中、4-ベンゾイル酪酸を90度で加熱撹拌することにより、対応する分子内α―アシロキシ化生成物が良好な収率で得られることを見出し、我々の仮説に誤りがないことが確認できた。酸素を酸化剤とするα―アシロキシ化反応の世界初の例である。成果は日本化学会第92春季年会にて発表した。2、また研究計画にも述べた、炭素―炭素結合形成反応についても研究を行い、触媒量のヨウ化テトラブチルアンモニウム存在下、酢酸/DMF混合溶媒中、アリールエナミンをt-ブチルヒドロペルオキシドと反応させることによって、炭素―炭素結合形成反応が進行し、インドール誘導体が高収率で得られることを見出した。これはヨウ化テトラブチルアンモニウムが酸化的な炭素―炭素結合形成反応の触媒としても展開できることを示した重要な知見である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現時点で計画通り順調に研究は進展している。特に、ヨウ化物イオンを用いて、酸素を酸化剤とする酸化的カップリング反応(ケトカルボン酸の分子内酸化的α―アシロキシ化反応)を世界に先駆けて成功させた点は大きい。アリールエナミンを基質として用いる分子内脱水素型炭素―炭素結合形成反応(インドール合成反応)についても、現在論文を投稿する段階まで進展しており満足できるスピードで研究は進展していると考えている。酸素酸化については、基質の適用範囲についての検討が不十分であるため、引き続き検討を行う。

今後の研究の推進方策

酸素酸化、炭素―炭素結合形成反応については、ほぼ完成の目処が立っているので、今年度はオレフィンの活性化やアルカンの活性化について重点的に研究を行う予定である。具体的には分子内にヒドロキシル基やカルボキシル基等の求核性官能基を持つ、オレフィンやアルカンについて、同様の触媒系を適用し、環状化合物の合成に適用できないか検討する予定である。酸素酸化については、現在のところ分子内反応に限られているため、分子間反応への展開についても検討を行うこととしている。これらの成果をまとめることにより、ハロゲン化物イオン触媒の今後の進展に必要な重要な知見を得ることができると考えている。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度の計画に基づく経費執行について、4月に支払いすべき経費が残っているため、次年度使用額が存在するように見えるが、実際にはほぼ全額を執行予定である。そのため、次年度の計画は、当初の計画通り進める予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ヨウ化物イオン触媒による酸素を酸化剤とするケトンの分子内酸化的α―アシロキシ化反応2012

    • 著者名/発表者名
      江後瑞希・永野高志
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      慶応義塾大学日吉キャンパス(神奈川)
    • 年月日
      2012年3月26日
  • [学会発表] ハロゲン化物イオン触媒による酸化カップリング反応2011

    • 著者名/発表者名
      永野高志
    • 学会等名
      第27回若手化学者のための化学道場(招待講演)
    • 発表場所
      簡保の宿伊野(高知)
    • 年月日
      2011年9月10日

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公開日: 2013-07-10  

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