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2011 年度 実施状況報告書

金と担体が協同的に活性を発揮する酸化物担持金ナノ粒子触媒の創生

研究課題

研究課題/領域番号 23750044
研究機関九州大学

研究代表者

浜崎 昭行  九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00515174)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード金ナノ粒子 / 銅触媒 / カップリング反応
研究概要

本研究は、酸化銅担持金ナノ粒子触媒(Au/CuO)を用いて、金ナノ粒子および担体である銅がそれぞれ触媒活性を発揮し、既存の触媒では達成できなかった効率的な分子変換反応を開発することを目的としている。具体的な研究計画としては、銅が活性を担う薗頭-萩原カップリング反応、金が活性を担う官能基選択的水素化反応および分子内環化反応を標的反応とし、これらの反応が連続して円滑に進行する反応系の確立を目指す。 初年度となる平成23年度は、酸化銅担持型の触媒(Au/CuO)が標的反応の第一段階である薗頭-萩原カップリング反応に触媒活性を示すかどうかについて、中心的に検討を行った。ヨウ化ベンゼンおよびフェニルアセチレンを基質とし、反応条件を種々検討したところ、トルエン溶媒中120度で20時間程度加熱すると、目的化合物であるジフェニルアセチレンが中程度の収率で得られた。この反応では銅が活性種となっているため、金を担持せず調製した銅触媒も、多少の活性の違いはあるもののAu/CuO同様に目的化合物を与えた。また、市販品の酸化銅(I)および(II)でも反応は進行したが、沈殿法により調製した銅触媒の方が、より高い触媒活性を示した。この反応は塩基性条件下で行うことが重要であり、ピリジンを溶媒とし炭酸セシウムを添加した時に、最も高い収率87%でジフェニルアセチレンが得られた。また、調製した触媒の表面化学的特性の評価を行った。SPring-8でX線吸収微細構造解析を行い、銅は二価の状態で存在していることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、酸化銅担持金ナノ粒子を触媒として用い、カップリング反応および分子内環化が連続的に進行する反応系の構築を目的としている。研究計画では初年度である平成23年度には、調製した触媒を用いて標的反応の第一段階である薗頭-萩原カップリング反応について中心的に検討する予定であった。種々検討を行った結果、沈殿法により調製した酸化銅(金を担持してもよい)を触媒として薗頭-萩原カップリングが円滑に進行する反応条件を見いだすことに成功し、研究は順調に進展している。

今後の研究の推進方策

研究最終年度となる平成24年度には、担持された金が触媒活性の中心を担う反応について検討を行う。具体的には、2-アルキニルニトロベンゼンを基質として、ニトロ基の還元およびそれに引き続く分子内環化が円滑に進行する条件を見つける必要がある。その後、本研究の目的として挙げている薗頭-萩原カップリング反応を含めた一連の標的反応が、同一容器内で連続して進行する条件を模索していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度は、震災対応などの影響で研究費減額の可能性が考えられ、申請時に予定していた研究計画に比べ消耗品に関する支出を極力抑えたため、結果として実使用額が予定額を下回った。これらの購入を延期した消耗品については、研究費の動向を見た上で次年度購入予定である。また研究の進展状況によっては、本研究の中心を占める有機合成の推進に大きく寄与すると思われる機器(ロータリーエバポレーター、フラッシュ自動精製装置、高速液体クロマトグラフなど)の導入も検討する必要があると思われる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Cobalt oxide supported gold nanoparticles as a stable and readily-prepared precursor for the in situ generation of cobalt carbonyl like species2011

    • 著者名/発表者名
      Akiyuki Hamasaki, Akiko Muto, Shingo Haraguchi, Xiaohao Liu, Takanori Sakakibara, Takushi Yokoyama, Makoto Tokunaga
    • 雑誌名

      Tetrahedron Letters

      巻: 52 ページ: 6869-6872

    • DOI

      DOI:10.1016/j.tetlet.2011.09.067

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Anti-ASF distribution in Fischer-Tropsch synthesis over unsupported cobalt catalysts in a batch slurry phase reactor2011

    • 著者名/発表者名
      Xiaohao Liu et al.
    • 雑誌名

      Catalysis Today

      巻: 175 ページ: 494-503

    • DOI

      10.1016/j.cattod.2011.03.030

    • 査読あり
  • [学会発表] コバルト酸化物担持ナノ粒子触媒を用いたカルボニル化反応2012

    • 著者名/発表者名
      武藤亜希子、濱崎昭行、石田玉青、徳永信
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      慶応義塾大学(神奈川県)
    • 年月日
      2012年3月26日
  • [学会発表] 酸化コバルト担持パラジウム触媒によるヨウ化アリールのホルミル化2012

    • 著者名/発表者名
      安武裕太郎、則尾貴史、濱崎昭行、石田玉青、大橋弘範、横山拓史、秋田知樹、本間徹生、徳永信
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      慶応義塾大学(神奈川県)
    • 年月日
      2012年3月25日
  • [学会発表] 沈殿法により調製した銅固体触媒を用いた薗頭-萩原カップリング反応2011

    • 著者名/発表者名
      安武裕太郎、濱崎昭行、石田玉青、徳永信
    • 学会等名
      第48回化学関連支部合同九州大会
    • 発表場所
      北九州国際会議場(北九州市)
    • 年月日
      2011年7月9日

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公開日: 2013-07-10  

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