酸化銅上に金ナノ粒子を担持したものを触媒として、担持された金と担体の銅がそれぞれ反応に関与する新規分子変換反応の開発を目指した。具体的には、2-ヨードニトロベンゼンと末端アルキンを基質として、銅が活性種となる薗頭-萩原カップリング反応と、金が活性種となるニトロ基の官能基選択的還元および分子内環化を経るインドール誘導体の合成法について検討した。その結果、銅が働く薗頭-萩原カップリング反応が円滑に進行する条件においては、金の官能基選択的還元作用はうまく発現しないことが明らかとなり、両反応をスムーズに進行させる統一の反応条件の設定は困難であることがわかった。しかしながら、それぞれの反応段階単独では非常に円滑に反応が進行するため、酸化銅担持金ナノ粒子触媒の新たな有機合成反応への適用に道を示す結果と言える。
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